技工物の詳細を開示する義務はない
みなさんは歯科技工物がどのように作られているか知っていますか??
歯科医院で歯を削り、型取りを済ませたあとは、完成した歯科技工物をセットしますね。
入れ歯も差し歯もそうです。
ではその歯科技工物は誰が作っているのでしょうか。
歯科医師が作っていると思われている方も多いかもしれませんが、ほぼ全ての歯科技工物は歯科技工士と呼ばれる歯科技工物作りの専門家が、1つ1つ手作りしています。
歯科技工士免許は日本の国家資格です。
今その歯科技工物が大きな問題を抱えています。
自分の口の中に何年もの長い期間装着される歯科技工物ですが、歯科医師から「この歯科技工物はどこのだれが作ったものですよ」と説明を受けたことがありますか??
実は歯科技工物は”どこのだれが作った”と伝える義務はありません。
スーパーで買う野菜でさえも生産地の表示が義務化され、”○○さんちのキャベツ”などの商品も多くあります。
身の回りにある、あらゆるものに『生産国』の表示があります。
しかし歯科技工物にはそれがありません。
あなたが支払う歯科治療にかかる費用は変わりません。
あなたは歯科技工物を選ぶ事も、製作者を知る事もありません。
もしその歯科技工物が『早さ』や『安さ』を重視して製作されたものだとしたらどう思いますか??
もしその歯科技工物が流れ作業のなかで簡単に製作されたものだとしたらどう思いますか??
もしその歯科技工物が海外で製作されたものだとしたらどう思いますか??
日本国内で歯科技工物を製作、修理することの出来る資格は2つ。
歯科医師免許と歯科技工士免許です。
迫り来る中国製歯科技工物
今、この法律の裏をかくように中国など労働賃金の安い外国から歯科技工物が輸入されています。
それは”自由診療であれば法律は及ばない”という脱法行為ともいえる考えのもと行われています。
残念ながら歯科技工物は”雑貨扱い”で輸入されているため水際で規制することも出来ません。
同様の問題を抱えるアメリカ(米国の歯科技工士はDTと呼ばれ国家資格ではない)では、中国から輸入された歯科技工物からニッケルやベリリウム、驚く事に鉛まで検出され、大きな社会問題となっています。
この現状に対し、日本では歯科技工士の有志が立ち上がり”輸入される歯科技工物”を規制するよう、国を相手取って裁判を起こしました。
『日本の国家資格を有する者しか日本国内の歯科技工物の製作を行ってはならない』という歯科技工士の主張のもと戦った裁判でしたが、結果は敗訴。
『最終的な判断は歯科医師にある』という結果に終わりました。
輸入を繰り返す歯科医師のみならず、歯科医院へ輸入を斡旋する歯科技工士まで出現し、事態は深刻になっています。
これらの危険から患者を守る方法はどうすればよいのかは、これからの歯科医療従事者も真剣に考えていかなければなりません。
是非みなさまのご意見をお聞かせください。
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